確定申告の方法は、大きく分けると「税務署に書類を直接提出する」「税務署宛に書類を郵送する」「e-Taxを利用してネットで電子申告する」の3つです。それぞれの方法についてメリット・デメリットをまとめました。
INDEX
目次
確定申告について – 提出書類など
確定申告の方法は、大別すると3つあります。2021年2月16日(火)~4月15日(木)に行う確定申告からは青色申告の場合に限り、e-Taxを利用するなどの要件を満たすと控除額が上がります(詳しくは後述)。
>> 2021年(令和3年)の確定申告期限が延長!期限は4月15日に
- 税務署の窓口に確定申告書類を直接提出する
- 税務署に確定申告書類を郵送する
- e-Taxを利用してネットで申告する
原則、自宅から一番近い税務署に確定申告書を提出します。自宅と事務所が異なる場合、事前に申請すれば事務所がある地域の税務署でもOKです。管轄の税務署を確認したいときは、国税庁のウェブサイトに郵便番号と住所を入力すれば検索できます。
確定申告の提出書類
直接提出・郵送どちらの場合でも、提出する書類は基本的に同じです。確定申告書はAとBの2種類がありますが、個人事業主はBを提出します。また、白色申告者は「収支内訳書」を、青色申告者は「青色申告決算書」を提出します。
白色申告 | 青色申告 |
---|---|
確定申告書には、12桁のマイナンバー(個人番号)を記載する欄があります。また、上記に加えて提出する「添付書類台紙」に、マイナンバーカードのコピーか、マイナンバーがわかるもの + 身元確認書類(運転免許証など)のコピーを貼り付けて本人確認をします。
①直接 – メリット・デメリット
一番オーソドックスなのが、税務署に確定申告書類を直接提出する方法です。自宅で書類を作成して税務署に持参するのはもちろん、税務署で書類を作成することもできます。ただ、申告期間中は大変混雑するので、税務署で作成するのはおすすめできません。
直接提出するメリット | 直接提出するデメリット |
---|---|
|
|
税務署に提出すると、控えに収受印を押してもらえます。なお、収受印は「確定申告書類を受け取りましたよ」というものであり、「この内容でOK!」という意味合いはありません。万が一不備があれば、後日ハガキや電話で連絡が届きます。
開庁時間は平日の8:30~17:00
基本的に、税務署は平日しか開いていません。ただ、確定申告の期間内に限っては、一部の税務署で数回だけ日曜日や祝日に開庁することもあります。税務署が閉まっている時間帯は「時間外収受箱」に書類を投函して提出することができます。
税務署で作成してもOK!
税務署に直接提出する場合、あらかじめ自宅で書類を作成してから持参してもいいですし、税務署に設置されている相談コーナーで作成してそのまま提出というのもOKです。税務署で作成すれば、不明な点や疑問点を職員に質問しながら記入できます。
2020年分の確定申告では、入場整理券による申告会場への入場規制が行われる。書類作成の相談を希望する場合、整理券の取得が必要。たんに申告書類を提出するだけなら、整理券なしでも提出できる。
>> 確定申告会場の入場整理券を入手する方法など
①直接 – 提出時に必要な持ち物
個人事業主が税務署に提出する必須書類は、白色申告者なら収支内訳書と確定申告書B、青色申告者なら青色申告決算書と確定申告書Bです。
税金が還付されそうな場合は、還付金を振り込んでもらうための口座情報が確認できる通帳を持っていくと安心です。当然ですが、この口座は還付を受ける本人名義のものである必要があります。
>> 個人事業主の還付申告 – 還付されるケース・有効期間など
控除の申請書は「添付書類台紙」に
申請する控除によっては、証明書の提出が求められます。「添付書類台紙」という用紙に該当する証明書を貼り付けて、ほかの書類と一緒に提出します。
添付書類台紙には、マイナンバーカード、もしくはマイナンバーが証明できるもの + 身元確認書類(運転免許証など)のコピーも貼り付けますので、忘れずに用意しておきましょう。なお、税務署で直接提示する場合は、窓口で提示するだけでもOKです。
②郵送 – メリット・デメリット
作成した確定申告書類は、管轄の税務署宛に送付することでも提出できます。この方法なら郵便ポストに投函するだけなので、混み合っている税務署にわざわざ行く必要はありません。
郵送するメリット | 郵送するデメリット |
---|---|
|
|
税務署に持参するときと違い、税務署の職員に不明な箇所を直接確認できないのはネックです。どうしても不安なところがあるという場合は、税務署に電話で尋ねるのもアリです。
郵送で提出する場合は「当日消印有効」
郵送で書類を送るときは、消印の日付が提出日として扱われます。つまり、最終期限日だとしても、郵便ポストの集荷時間までに投函していればセーフです。心配な方は、期限日までに郵便局の窓口に行き、目の前で消印を押してもらいましょう。
②郵送 – 封筒のサイズや郵便の種類
確定申告書類を郵送するとき、一般的にはA4サイズがピッタリ入る「角形2号」の封筒が使われます。必要書類を折って封入しても問題ありませんが、提出する書類の枚数が多くなることもままあるので、大きめのサイズが利用されています。
封筒に入れる書類は、基本的に税務署に直接提出する際と変わりありません。本人確認書類に関しては、現物を封入するわけにはいかないのでコピーしたものを添付します。
控えを返送してほしい場合は、同じ角形2号の封筒を半分に折って同封しておきましょう。この場合、返送用封筒に自身の住所を記入し、切手を貼っておくことを忘れないようにしましょう。
確定申告書類は「信書」扱い
信書は「文書」とみなされるので、ゆうパックや宅配便のような「荷物」を発送するサービスでは送れません。普通の郵便物(第一種郵便物)か、信書便物として送付する必要があります。
信書OK | 信書はNG(荷物専門) |
---|---|
|
|
追跡できる郵便サービスがオススメ
きちんと税務署まで届いたか確認するためにも「追跡」が可能な郵便サービスの利用をおすすめします。金額は少しかかってしまいますが、もちろん必要経費として扱うことができます(勘定科目は「通信費」など)。
レターパックでの送付や、簡易書留などのオプションサービスを利用すれば、書類が税務署まで届いたかネットで確認することができます。レターパックライトなら、封筒と切手代込みで370円なのでオトクです。
郵便サービス | 料金 |
---|---|
簡易書留 | 切手代 (120~140円) + 320円 |
レターパックライト | 370円 (一律) |
レターパックプラス | 520円 (一律) |
③e-Tax – メリット・デメリット
自宅のパソコンからインターネットを経由して確定申告をすることも可能です(電子申告)。国が運営する「e-Tax(イータックス)」という国税の申告に関するサービスを利用します(本ページでは自宅からの電子申告を想定しています)。
e-Taxのメリット | e-Taxのデメリット |
---|---|
|
|
e-Taxなら、申告期間中は24時間受付なので(メンテナンス時間を除く)好きな時間に申告できます。ただ、サービス自体は使いにくいので、パソコン操作が不慣れな方や確定申告が初めての方にはおすすめできません。
提出を省略できる書類とは?
書面提出で確定申告を行う場合、医療費控除や社会保険料控除を受ける際には証明書を添付しなくてはなりません。ただ、電子申告の場合はそれらの書類の提出を省略することができます。提出は省略できますが、原則5年間は証明書を自宅などで保管しておく必要があります。
>> 電子申告で提出を省略できる書類
利用環境について
パソコンの利用環境によっては、電子申告ができないケースがあります。Windows・Mac共に対応していますが、OSやブラウザの推奨バージョンが厳しく制限されています。もちろん、自宅にネット環境が整っていることが大前提です。
書面よりも還付が早い
税金が還付される場合は、e-Taxであれば3週間ほどで還付されます(書面の場合は1ヶ月~1ヶ月半くらいかかる)。ちなみに会社員などが還付申告をする場合、書類提出での申告と同様に電子申告も1月上旬から行えるので、かなり早く還付金を受け取れます。
③e-Tax – 利用するために準備するもの
2019年1月から、より簡単な方法でe-Taxが利用できるようになりました。これまでは、マイナンバーカードとそれを読み込むためのICカードリーダーが必要でしたが、ID・パスワード方式なら、それらを用意しなくても電子申告ができます。
2つの利用方法(2019年1月以降)
「マイナンバーカード方式」とは
マイナンバーカードを用いて公的本人確認を行い、電子申告をする方法が「マイナンバーカード方式」です。
マイナンバーカードは、ICチップが内蔵されたプラスチック素材のカードのことです。マイナンバー制度がスタートする時に届いた紙製の「マイナンバー通知カード」とは異なります。マイナンバーカードは、国から勝手に送られてくるわけではなく、申請すると発行されます。
マイナンバーカードを用いて公的個人認証をするためには、ICカードリーダーが必須です。ネット通販などを利用して、2,000~4,000円程度で購入できます。ちなみに、この機能を内蔵したスマホを持っていれば、ICカードリーダーとして使用できる場合があります。
>> マイナンバーカードに対応したNFCスマホ
「ID・パスワード方式」とは
ID・パスワード方式なら、マイナンバーカードを発行していなくても電子申告ができます。税務署に直接出向いて職員と対面で本人確認を行うことで、e-Tax用のID・パスワードが発行してもらえます。
ただ、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応で、2022年頃に見直しされる予定です。青色申告の場合、2020年分からは電子申告をすることで控除額が増額されるので、長期的な目線ではマイナンバーカード方式のほうがおすすめです。
>> どっちがいい?ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式
2020年分からはe-Taxの利用で控除額がアップ
2020年分の確定申告(つまり、2021年2月16日~4月15日に行う確定申告)から、e-Taxを利用することで控除額が10万円増える場合があります。
まず、青色申告特別控除が3種類になります。今までの65万円控除の要件で申告すると、55万円控除として扱われます。ただ、これまでの要件にプラスしてe-Taxで電子申告をすれば、今までと同様に65万円控除を受けられるかたちになります。
>> 青色申告特別控除の変更点(2021年に行う確定申告から)
そして、基礎控除の変更があります。これは、提出方法ではなく合計所得金額によって適用される控除額が変化するものです。
合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除の金額が現行の38万円から48万円に引き上げられます。これにより、新しい要件で65万円控除が適用された事業者は、全体の控除額を10万円アップできる、というわけです。
>> 基礎控除の変更点(2021年に行う確定申告から)
提出方法のまとめ
確定申告の方法、3種類の特徴を表にまとめました。初心者におすすめなのは、税務署に書類を直接提出する方法です。確定申告を経験済みで書類の作成に慣れている方は、郵送で提出すれば長蛇の列に並ぶ必要がありません。パソコン操作に自信のある方なら、e-Taxによる電子申告がおすすめです。
直接提出 | 郵送 | e-Tax | |
---|---|---|---|
メリット |
|
|
|
デメリット |
|
|
|
別途準備するもの | 特になし |
|
|
税務署に書類を直接提出する場合、収支内訳書(青色申告者なら、青色申告決算書)と確定申告書Bを必ず用意します。本人確認は、マイナンバーカードを窓口で提示するか、そのコピーを一緒に提出することで行います。マイナンバーカードを所持していない場合は、「マイナンバーが証明できるもの + 身元確認書類」を提示するか、それらのコピーを添付します。
郵送の場合も、用意する書類は変わりません。ただ、本人確認書類に関しては現物を送ることはできないので、コピーを添付するかたちになります。また、控えが欲しい場合は、切手を貼った返信用封筒も一緒に送ります。
e-Taxで電子申告をする場合は、上記の内容をデータで送るので、紙の書類を用意する必要はありません。控除の証明書など、添付書類の提出も省略できます。ただ、提出を省略した書類に関しては、最低でも5年間は保管しておかなくてはいけません。