- 医療費控除を受けるには「確定申告書」の提出が必要
- 確定申告の際には「医療費控除の明細書」を添付する
- 明細書は「医療費のお知らせ」などをもとに作成する
INDEX
目次
医療費控除を受けるために必要なもの
医療費控除を受ける人は、確定申告の際に「医療費控除の明細書」を提出します。この用紙は税務署に置いてあるほか、国税庁の該当ページでも最新版をダウンロードできます。
「医療費控除の明細書」- 1年間の医療費の内訳を記入する
郵送or直接提出の場合 | e-Tax(電子申告)の場合 |
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「医療費控除の明細書」には、受診した医療機関や支払った金額などを記入します。e-Taxで電子申告する場合は、上図右側のようなフォームに直接入力するので用紙のダウンロードは不要です。
明細書を作成するときに参照するもの
- 医療費のお知らせ(医療費通知)
- 医療費の領収書
- 交通費の詳細がわかるもの
- 医療費を補填する金額がわかるもの
「医療費控除の明細書」を作成する際は、上記の書類を手元に用意しておきましょう(詳細は後述)。明細書の書き方は別記事「医療費の明細書の書き方」でわかりやすく解説しているので、そちらも併せてご覧ください。
- ちなみに、「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合、年間の医療費データを一括取得して、自動的に確定申告書へ反映させることも可能。この機能を利用するには、マイナポータルで事前手続きを行い、健康保険証とマイナンバーカードを紐付けておけばよい。
「マイナポータル連携」で書類の自動転記が可能に
① 医療費のお知らせ(医療費通知)
「医療費のお知らせ」は、ハガキや封書で定期的に送付されます。送付時期や回数は、加入先によってさまざまですが、年一回、1月~2月頃に送付されるのが基本です。
「医療費のお知らせ」の見本(ハガキ)
※この見本は、市区町村から送付される国民健康保険のもの
- 「医療費のお知らせ(医療費通知)」とは
- 「医療費通知」があれば「医療費控除の明細書」の記載を簡略化できる。「医療費通知」とは、下記の6項目が記載されている「医療費のお知らせ」のこと。病院名など、一部が欠けている場合は、手書きで補完することも認められている。
①被保険者等の氏名、②療養を受けた年月、③療養を受けた者、④療養を受けた病院・診療所・薬局等の名称、⑤被保険者等が支払った医療費の額、⑥保険者等の名称
協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合、送付は年1回で、1月~2月に届きます。2025年に届くものには、2023年10月~2024年9月の間に保険適用で受診した内容が記載されています。
つまり、2024年分の内容は、1~9月の分だけとなります。10~12月に支払った医療費など、記載のない医療費についても適用を受けたければ、その分の「医療費の領収書」が必要です。
② 医療費の領収書
「医療費の領収書」とは、病院や薬局などで支払い時に発行される領収証やレシートのことです。基本的に、どの医療機関でも下記のようなフォーマットで発行されます。
「医療費の領収書」の見本
前述のように、「医療費のお知らせ」に記載のない医療費について控除を受ける場合は「医療費の領収書」が必要です。
「医療費の領収書」は確定申告で提出する?
2017(平成29)年分の確定申告からは、「医療費の領収書」を確定申告で提出しなくてよいことになりました。ただし、確定申告してから5年間は、税務調査に備えて保存しておく必要があります。
③ 交通費の詳細がわかるもの
通院や入院に必要な公共交通機関(電車・バスなど)の費用は、医療費に含めることができます。ですから、この記録をもとに「医療費の明細書」に記入します。
引用
次に掲げるもののように、医師…(中略)…による診療、治療、施術…(中略)…を受けるため直接必要な費用は、医療費に含まれるものとする。
(1)医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費…(後略)…所得税基本通達73-3
電車賃などの交通費は領収書が発行されないものが多いので、家計簿やメモでしっかり記録を残しておきましょう。
④ 医療費を補填する金額がわかるもの
たとえば民間会社の保険に加入していて、ケガや病気の保険金がおりたとします。この場合、保険会社によってまかなわれた金額は「医療費の明細書」に記入する必要があります。もしこのような保険金や給付金が出たら、下記のような該当書類を確認しましょう。
- 支払明細書
- 振り込まれた口座の通帳
- 請求時の書類の控え
たとえば生命保険会社から保険金を受け取った場合、送金後に送付される「給付金の支払明細書」を見れば振り込まれた金額がわかります。この明細は「医療費のお知らせ」と同様、ハガキか封書で送付されます。なお、書類の名称は機関ごとに異なります。
「給付金の支払明細書」がない場合は、「給付金が振り込まれた口座の通帳」や「給付金請求時の書類の控え」などで確認するといいでしょう。
そのほか添付・提示が必要な書類
該当者は大きく限定されますが、下記のような費用について医療費控除を受ける場合は、特定の書類が必要になります。
これらの書類は、「医療費控除の明細書」のどこかに「証明年月日・証明書の名称・証明者(医療機関)の名称」を記載すれば、確定申告での添付・提示を省略できます。省略した場合は、確定申告が終わったあと5年間は保存します。
まとめ
最後に、確定申告で提出する書類をおさらいしておきます。医療費控除を受ける人は、原則として「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告の際に提出する必要があります。
確定申告の主な提出書類 – 医療費控除を受けるとき
個人事業主の場合 | 一般的な会社員の場合 |
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「医療費控除の明細書」を作成するにあたって、事前に下記のような書類を用意しておきましょう。下記の書類は確定申告での提出義務はありませんが、明細書に医療機関の情報や支払った金額などを記入する際に必要となります。
明細書を作成するときに参照するもの
医療費のお知らせ (医療費通知) |
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医療費の領収書 |
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交通費の詳細が わかるもの |
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医療費を補填する 金額がわかるもの |
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確定申告が完了した後も、上記の書類は5年間保存しておきましょう。万が一、税務署から申告ミスを疑われても、これらの書類があれば「医療費控除の明細書」の内容を裏付ける証拠となります。