自営業がとことん分かるメディア

確定申告義務のある個人事業主とは?初心者向けの分かりやすい解説

更新日: 2021/04/22
確定申告義務のある個人事業主とは?初心者向けの分かりやすい解説

INDEX

目次

    個人事業主の確定申告義務

    個人事業主の場合、年間の所得が48万円以下なら確定申告を行う義務はありません。「義務がない」とは、確定申告をしなくても罰則などを課されないということです。

    確定申告義務の目安(所得48万円以下は義務なし)

    • 個人事業主の場合、所得48万円以下なら確定申告が義務ではない
    • 逆に所得が48万円を超えても、必ず確定申告が義務になるとは限らない

    所得が48万円を超えても、受けられる「所得控除」の総額がそれを上回っていれば、確定申告の義務はありません。したがって、たとえば「所得150万円だけど申告義務はない」というようなケースもあり得ます。(詳しくは後述)

    なお、専業の個人事業主なら、ここで言う「所得」は、単純に事業所得のことだと考えてOKです(事業の収入 - 必要経費 = 事業所得)。事業以外でも収入を得ている場合は、それらの所得もあわせて考えましょう。

    青色申告者は特別控除の金額に注意
    青色申告の場合、事業所得は「収入 - 必要経費 - 青色申告特別控除」で算出する。ただし、55万円・65万円の特別控除は、期限内に確定申告をしないと適用されない。

    【所得48万円以下】なぜ申告義務がない?

    所得が48万円以下なら、基礎控除を差し引くだけで「課税される所得金額」がゼロになり、確定申告義務が生じることはありません。詳しい考え方は、下図に沿って説明します。

    所得税算出の流れ(所得 - 所得控除 = 課税所得)

    確定申告では、上図のような流れで所得税額を算出します。この計算で、そもそも「課税される所得金額」がゼロになる場合、確定申告の義務はありません(所得税法120条)。

    • 上図の計算で「課税される所得金額」がゼロなら、確定申告の義務はない
    • 所得よりも所得控除の額が大きいと「課税される所得金額」はゼロになる

    一部の高所得者を除けば、所得控除の中には必ず「基礎控除(控除額48万円)」が含まれます。したがって、所得が48万円以下なら、必ず「課税される所得金額」がゼロになるのです。
    >> 基礎控除についてくわしく

    ちなみに、2019年分の確定申告までは、基礎控除の控除額が「38万円」でした。ネット上では、まだ「所得38万円以下なら申告不要!」という説明が散見されますが、これは改正前の古い情報です。

    【所得48万円超】申告義務がない場合もある?

    所得が48万円を超えても「課税される所得金額(所得 - 所得控除)」がゼロなら、確定申告の義務はありません。要するに、所得が48万円を超えても、所得控除のトータルがそれを上回れば、確定申告の義務は生じないということです。

    基礎控除などの所得控除で課税所得がゼロになる場合

    大抵の個人事業主は、基礎控除だけでなく「社会保険料控除」なども受けられます。そのぶん所得控除の額は多くなるので、申告義務が生じるボーダーラインも上がっていきます。

    受けられる人が多い所得控除の例

    社会保険料控除 国民年金や国民健康保険の納付額に応じた控除
    控除額:その年に支払った社会保険料の全額
    医療費控除 一定以上の医療費を支払った場合に受けられる控除
    控除額:支払った医療費から保険金等を引いた金額
    配偶者控除 対象となる配偶者がいる場合に受けられる控除
    控除額:最高38万円(配偶者が70歳以上だと最高48万円)
    扶養控除 16歳以上の扶養親族がいる場合に受けられる控除
    控除額:1人につき38万円~63万円

    >> 所得控除の一覧

    計算例 – 所得が48万円を超えるときの考え方

    個人事業主のAさんとBさんを例に、確定申告義務の有無を考えてみます。なお、どちらも所得は120万円とします。これくらいの所得だと、所得控除の額によって、申告義務の有無が変わりやすいです。

    Aさんの場合(所得120万円、所得控除が多め)

    所得 120万円
    所得控除
    • 基礎控除:48万円
    • 社会保険料控除:35万円
    • 医療費控除:50万円

    → 総額133万円

    Aさんの場合、所得控除の総額が所得を上回っているので、「課税される所得金額」はゼロになります。したがって、確定申告の義務はありません。

    所得控除が所得を上回ると課税所得はゼロになる

    Bさんの場合(所得120万円、所得控除が少なめ)

    所得 120万円
    所得控除
    • 基礎控除:48万円
    • 社会保険料控除:35万円

    → 総額83万円

    Bさんの場合、所得から所得控除を差し引くと、37万円の「課税される所得金額」が生じます。計算上、所得税も生じることになるので、確定申告を行う必要があります。

    所得控除が所得より少ないと課税所得が生じる

    ちなみに、厳密な話をすると、Bさんもまだ「申告義務あり」と確定したわけではありません。最終的には、所得税から「配当控除」を引いた金額で、申告義務の有無が決まります(ただ、配当控除を適用できるのは株取引などをする人の一部で、レアケース)。
    >> 申告義務の厳密な判断基準を知りたい方はコチラ

    まとめ

    個人事業主の場合、所得が48万円以下なら確定申告の義務はありません。また、所得が48万を超えても、所得控除の総額がそれを上回るなら、確定申告の義務は生じません。

    確定申告義務の目安(所得48万円以下は義務なし)

    申告義務の有無については、「所得が48万円以下か?」ではなく「所得が所得控除以下か?」で考えるほうが的確だということです。まずは、自分がどんな所得控除を受けられるか、ざっくり把握しておくとよいでしょう。

    気になるポイントまとめ【Q&A】

    Q. 所得48万円以下ならホントに申告しなくていいの?
    A. 個人事業主の場合、所得が48万円以下なら確定申告の義務はありません。ただ、あえて確定申告をするメリット(税金の還付や赤字の繰越など)もあるので、義務がなくてもひとまず申告しておくのがオススメです。
    Q.「事業所得が20万円超だと確定申告が義務」って聞いたんだけど?
    A. 給与所得を得ている人は「給与所得及び退職所得以外の所得」が合計20万円を超えると、確定申告の義務が生じます。副業会社員や、アルバイトをしている個人事業主は、この基準に従って考えます(専業の個人事業主には関係ない)。
    >> 確定申告が必要な給与所得者
    Q. 実際のところ、申告義務が生じる現実的なボーダーは所得いくらくらい?
    A. 国税庁の統計によると、確定申告で税金を納めた人の平均的な所得控除額は130万円前後のようです。一概には言えませんが、いくつかの所得控除を受けるなら、このあたりの金額が目安になるかもしれません。
    Q. 義務があることを知らず、申告をしていなかったらどうなる?
    A. 計算上、所得税の納税額が生じるにも関わらず「申告してなかった!」という場合は、そのぶん納付が遅れてしまいます。後々、税務署から指摘されると、本来の税額に「延滞税」や「無申告加算税」を加えて納付することになります。
    >> 申告期限を過ぎるとどうなる?