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4種類!個人事業主が納める主な税金まとめ

更新日: 2023/08/30 税理士監修
4種類!個人事業主が納める主な税金まとめ

個人事業主が納める主な税金は、「所得税」「消費税」「住民税」「個人事業税」の4つです。これらの税金について、それぞれわかりやすく解説します。

INDEX

目次

    主な税金の納付時期

    個人事業主が納める主な税金の納付期限日は、それぞれ以下の通りです。

    主な税金と納付期限日

    納付期限日
    所得税 3月15日(確定申告の期限日)
    消費税 3月31日
    住民税 6月30日・8月31日・10月31日・翌年1月31日
    個人事業税 8月31日・11月30日

    期限日が土日祝日と重なる場合は翌平日

    住民税は4回に分けて納付するのが基本です。希望すれば一括納付もできますが、とくに割引はありません。

    個人事業税も同じように、2回で分納します。こちらも一括納付が選べる場合もありますが、一括納付による割引はありません。

    なお、振替納税を選択すれば、所得税は通常4月20日前後、消費税は4月25日前後に指定口座から自動引き落としになります。
    国税の納付方法まとめ

    所得税 – 年間の利益に対して課せられる税金

    所得税は、その名のとおり「所得」に応じて課される税金です。個人事業の所得とは、売上から必要経費を差し引いた金額のことをいいます。確定申告の際には、自分で所得税の納税額を計算します。

    所得税の金額は、おおよそ下図の流れで決まります。確定申告書では、このような計算を行うわけです。

    所得税算出のおおまかな流れ

    所得控除には、たとえば48万円分の「基礎控除」などが含まれます。したがって、所得が48万円以下の年はおのずと課税所得が0円になり、所得税がかかりません。

    納付期限は確定申告期限と同じ

    所得税の納付期限日は、確定申告の期限日と同じ3月15日です。この日が土日祝日と重なる年は、期限日が後ろの平日にずれます。あらかじめ口座振替の手続きをしておけば、1ヶ月ほど納付を遅らせることもできます。

    消費税 – 開業して間もない事業主は不要

    消費税は、事業における多くの取引(課税取引)に対して課されます。しかし、以下のいずれかにあてはまる個人事業主は消費税の納付義務がなく、「免税事業者」という扱いになります。

    免税事業者(消費税の納税義務なし)の条件

    • 開業してから2年以内
    • 前々年の課税売上高が1,000万円以下

    【例外】開業2年目から納税が必要な場合も

    前々年の課税売上高が1,000万円以下であっても、消費税の納付が必要となる場合があります。特定期間(個人事業では、前年の1月1日~6月30日)に、以下2つの条件をどちらも満たした場合には、開業2年目でも消費税を納めなければいけません。

    • 課税売上高が1,000万円を超えた場合
    • 支払った給与等の金額が1,000万円を超えた場合

    消費税の計算方法

    消費税は、売上金額全体から、仕入れや経費などで支払った消費税を差し引いた金額を納付するのが基本です。売上とともに受け取ったすべての消費税を納めるわけではありません。

    納める消費税の計算式

    納付は3月31日まで、免税事業者はなにもしなくてOK

    消費税の納付期限は3月31日です。しかし免税事業者の条件のいずれかに当てはまる事業主は納付義務がないので、売上と共に預かった消費税を、そのまま事業主の取り分にすることができます。

    また所得税と同様に、あらかじめ口座振替の手続きをしておけば、1ヶ月ほど納付を遅らせることもできます。

    住民税 – 都道府県や市町村に納付する税金

    住民税は、住んでいる地方自治体に納める税金です。確定申告をすれば、別途で住民税の届出を行う必要はありません。6月頃に納税通知書が届くので、それに従って納付しましょう。

    少し詳しく説明すると、住民税とは「市区町村民税」と「都道府県民税」を合わせた税金の名称です。それぞれ、所得額に関係なく定額で課税される「均等割」と、所得に対して課税される「所得割」という、2つの要素から構成されています。

    住民税は均等割+所得割で決まる

    「均等割」は、基本的にすべての人に定額で課されます。金額は地域ごとに異なりますが、「市区町村民税」の均等割と「都道府県民税」の均等割を合わせると、だいたいの地域で年間4,000円~5,000円前後になります。

    「所得割」は、所得(≒ 儲け)に応じて課されます。金額は、おおよそ下記のような計算式で算出されます。「市区町村民税」と「都道府県民税」を合わせて考えると、税率10%になる地域が多いです。

    住民税所得割の計算方法

    納付方法は6月一括 or 分割4回

    毎年6月上旬~中旬に、住民税の「納税通知書」が地方自治体から届きます。納税額が記載してあるので、これに従って納付をしましょう。「一括払い(6月)」か「4回払い(6月・8月・10月・1月)」を選べますが、どちらを選んでもトータルの納税額は変わりません。

    あらかじめ手続きを済ませておけば、口座振替も可能です。この場合は基本的に、6月末日・8月末日・10月末日・翌年1月末日、この4回にわたって振替されます。

    個人事業税 – 課税の目安は290万円

    個人事業税は、事業に対して課税される税金です。確定申告をしていれば個人事業税の申告は不要で、届いた納税通知書に従って納付をすればOKです。

    個人事業税には、誰もが受けられる「事業主控除」という所得控除が存在します。したがって、おおまかにいうと青色申告特別控除を差し引く前の事業所得」が290万円以下なら、個人事業税を納付する必要がありません。(年の途中で開業した場合などを除く)

    個人事業税の計算方法 - 基本の考え

    >> 個人事業税の計算方法について詳しく

    納付は原則として8月・11月の年2回払い

    毎年8月に、都道府県税事務所から、個人事業税の納税通知書が届きます。これにしたがって、記載の金額を納付しましょう。なお「事業所得が290万円以下」などの理由で納付義務がない場合、そもそも納税通知書は送られてきません。

    基本的には8月と11月の2回に分けて納付しますが、地域によっては一括払いが選択できる場合もあります。個人事業税は事業に課せられる税金なので、支払った税金は経費に計上できます。仕訳の勘定科目は「租税公課」です。

    個人事業税の記帳方法について

    まとめ – 個人事業主が納める主な4つの税金

    個人事業主が納める主な税金は「所得税」「所得税」「住民税」「個人事業税」の4つです。これらの特徴や、免除される場合について、それぞれまとめました。

    納付時期 納付方法 免除になる目安
    所得税 3月15日(確定申告の期限日)まで 確定申告を通して
    税務署に申告・納付
    所得が48万円以下
    消費税 3月31日まで 税務署に申告・納付 ・開業してから2年以内
    ・2年前の売上高が1,000万円以下
    住民税 6月・8月・10月・
    翌年1月
    納税通知書にしたがって納付 所得が非課税限度額以下(均等割・所得割それぞれ異なる)
    個人
    事業税
    8月・11月 納税通知書にしたがって納付 事業所得が年間290万円以下

    所得税

    所得税は、確定申告の際に納税額を自分で算出する必要があります。ただ、赤字の年度はもちろん、事業所得が基礎控除(48万円)以下に収まる年は納税不要です。

    消費税

    「前々年の課税売上高が1,000万円以下」なら「免税事業者」に該当するので、個人事業主ではそもそも消費税の納付義務がない場合も多いです。ただ、売上が増えてきたら、納税義務が生じている可能性もあるので注意しましょう。

    住民税

    住民税は、6月頃に届く「納税通知書」に従って納付すればOKです。6月の一括払いか、4回払い(6月・8月・10月・翌年1月)が選べますが、トータルの納税額が変わることはありません。

    個人事業税

    個人事業税は、毎年8月に届く納税通知書にしたがって納付します。原則的に8月と11月の2回に分けて納付しますが、一括払いができる地域もあります。なお、個人事業税の納付義務がない人には、そもそも通知が届きません。

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    監修

    柴田会計事務所
    税理士
    柴田 裕士
    1983年生まれ、千葉県出身。高校卒業後にプロレスラーを目指し大阪プロレスに入門するが怪我によりプロレスラーになるのを断念した後、税理士試験を通過し税理士となった異色の経歴を持つ。現在は東京都板橋区にて10人規模の税理士事務所を経営している。
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