地代家賃とは?具体例・仕訳方法・家事按分など

更新日: 2020/09/30 税理士監修
地代家賃とは?具体例・仕訳方法・家事按分など

「地代家賃」について、個人事業向けにまとめました。事務所や駐車場の賃料・管理費・礼金・更新料等は、「地代家賃」として経費に計上できます。ちなみに、自宅兼事務所の家賃なども、家事按分をすることで一部を経費として扱えます。

INDEX

目次

    地代家賃(チダイヤチン)とは?

    事務所・店舗用の物件や、事業用の駐車場を借りた場合、その賃料や管理費は「地代家賃」として経費に計上します。自宅兼事務所などの場合は「家事按分」も可能です。消費税区分は基本的に「課税」ですが、土地の賃料などは「非課税」の場合もあります。
    >> 消費税の課税・非課税って何? – 個人事業の消費税入門

    地代家賃の具体例

    • 事務所や店舗の家賃、管理費
    • 自宅兼事務所の家賃の一部(家事按分)
    • 20万円未満の礼金、更新料、権利金
    • レンタルオフィス、シェアオフィスなどの料金
    • 倉庫、トランクルームなどの賃料
    • 月極駐車場などの賃料
    • 土地の賃料

    ちなみに20万円以上の礼金や更新料は、賃貸契約の期間に応じて少しづつ経費に計上していく、というルールがあります。支払いのタイミングでは経費にできないので注意しましょう。

    敷金や保証金は経費にできない

    事務所などを借りる際の敷金・保証金は、いずれ返ってくるお金なので、支払い時には経費計上できません(詳細は後述)。また、生計を共にする親族(配偶者など)に支払う家賃も、一切経費にできないので気をつけましょう。

    地代家賃に当てはまらないもの -「賃借料」などとの使い分け

    「地代家賃」は、個人事業では金額が大きくなりがちな勘定科目なので、たくさん計上していると税務署に目をつけられてしまいます。そのため、以下のような費用については、「地代家賃」以外の適切な勘定科目を使って仕訳しましょう。

    地代家賃に当てはまらない費用 勘定科目
    機械や器具のレンタル料 賃借料
    会議スペースなどの一時的な利用料
    不動産業者に支払う仲介手数料 支払手数料
    コインパーキングなどの一時的な利用料 旅費交通費

    「賃借料」は、パソコンやコピー機のリース料などを仕訳する際に用いられる勘定科目です。決算書には記載がありませんが、一般的によく使われています。レンタルオフィスなどの料金は通常「地代家賃」で計上しますが、一時的に利用するだけなら「賃借料」を用いるのが妥当です。

    事務所を借りる際など、不動産業者に支払う仲介手数料は「支払手数料」の勘定科目で経費に計上します。家賃や礼金などと同時に支払う場合が多いですが、「地代家賃」とは区別しましょう。

    出先で一時的に利用するコインパーキング等の料金は「旅費交通費」として経費に計上します。月極駐車場などで継続的な費用がかかる場合のみ、「地代家賃」の勘定科目を使いましょう。

    地代家賃の消費税区分

    「地代家賃」の消費税区分は、基本的に「課税」です。ただし、支出の内容によって「非課税」の場合もあります。

    課税 非課税
    • 事務所の家賃、管理費
    • 礼金、更新料、権利金
    • レンタルオフィスなどの料金
    • 倉庫、トランクルームなどの賃料
    • 月極駐車場などの賃料
    • 土地の賃料(契約が1ヶ月未満の場合)
    • 住宅用物件の家賃
    • 土地の賃料(契約が1ヶ月以上の場合)

    住居用物件の家賃には、消費税がかかりません(非課税)。ただし、事務所利用を前提とした契約なら、消費税がかかることになっています。

    土地の賃料は場合によって消費税区分が異なる

    契約期間が1ヶ月以上の土地の場合、賃料の消費税区分は基本的に「非課税」です。ただし、ここで言う「土地」とは、区画分けなどの整備がされていない「まっさらな土地」のこと。区画分けがされた駐車場などの場合、賃料の消費税区分は「課税」です。
    >> 消費税の課税・非課税って何? – 個人事業の消費税入門

    土地の状態によって消費税区分が異なる

    仕訳例① 地代家賃の基本的な記帳例

    たとえば、翌月分の事務所家賃(管理費込み)20万円を、普通預金からの振替で支払う場合、複式簿記では以下のように記帳します。

    複式簿記の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年9月28日 地代家賃 200,000 普通預金 200,000 10月分の
    事務所家賃

    ちなみに複式簿記とは、65万円・55万円の青色申告特別控除を受けるために必要な記帳方式のこと。単式簿記の場合は、以下のように記帳すればOKです。

    単式簿記の記帳例

    日付 地代家賃 摘要
    2020年9月28日 200,000 10月分の
    事務所家賃

    仕訳例② 自宅兼事務所の家賃を「家事按分」する場合

    プライベートと事業の両方に関わる支出については、「事業用に使っている」と客観的に認められる部分だけ、経費として計上できます。この仕組みが「家事按分」です。「地代家賃」の場合、自宅兼事務所の家賃や、公私で使う月極駐車場の賃料などが該当します。

    たとえば家賃が月10万円の自宅で、床面積の30%を事業用のスペースとして使っている場合は、月々3万円を経費にできるということ。なお、残りの7万円は、事業主の個人的な支出を表す「事業主貸」の勘定科目で処理します。

    家賃を面積で家事按分する具体例【地代家賃】

    上記の例の場合、複式簿記では以下のように記帳します。

    自宅兼事務所の家賃を家事按分する際の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年9月28日 地代家賃 30,000 普通預金 100,000 10月分の家賃
    事業主貸 70,000 10月分の家賃
    (家事按分)

    仕訳例③ 年をまたいで家賃を前払いする場合

    翌年の家賃を前払いする場合、原則的には、その金額を今年の経費としては扱えません。そのため、支払い時には家賃をまず「前払費用」という資産の勘定科目に計上します。「前払費用」は、ざっくり言えば「支払ったけどまだ経費には計上しないよ」という意味の勘定科目です。

    たとえば、2020年12月に2021年1月分の家賃10万円を口座振替で支払う場合、ひとまず以下のように仕訳をします。

    12月時点での記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年12月28日 前払費用 100,000 普通預金 100,000 翌1月分の
    事務所家賃

    そして翌年1月になったら、「前払費用」として仕訳しておいた10万円を、以下のようにして「地代家賃」に振り替えます。日付は1月中であればOKですが、こういう場合は月末の日付で振替仕訳をしておくのが一般的です。

    翌年1月時点の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2021年1月31日 地代家賃 100,000 前払費用 100,000 1月分の事務所家賃

    しかし実際のところ、家賃を前払いする場合は、特例的に支払い時に経費計上できるケースがほとんどです(短期前払費用の特例)。これは、年をまたぐときでも同様なので、上記はあくまで原則的な仕訳方法として理解しておきましょう。

    「短期前払費用の特例」にもとづいて、支払い時に経費計上する場合、下記のように仕訳すればOKです。

    12月時点での記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年12月28日 地代家賃 100,000 普通預金 100,000 翌1月分の
    事務所家賃

    仕訳例④ 敷金・礼金・仲介手数料などを支払う場合

    新たに事務所などの物件を借りる際の費用には、「地代家賃」として経費にできるものとそうでないものが混ざっています。また、敷金や保証金などは、返ってきた際に再度仕訳をする必要があります。

    たとえば、事務所用の物件(家賃は月々10万円)を借りる際、敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ家賃1ヶ月分だった場合は、以下のように仕訳をします。なお、翌月分の家賃も同時に支払ったものとします。

    事務所を借りる際の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年3月23日 地代家賃 200,000 普通預金 400,000 4月分の事務所家賃
    礼金
    支払手数料 100,000 仲介手数料
    敷金 100,000 敷金

    上記の例では、翌月分の家賃と礼金のみ「地代家賃」に計上しています。仲介手数料は「支払手数料」として経費に、敷金は「敷金」などの勘定科目で資産に計上しましょう。

    また敷金に関しては、退去時などに返還された金額を改めて仕訳します。たとえば、敷金10万円のうち6万円がクリーニング費用などに使われ、残りの4万円が返ってきた場合は以下のように記帳します。

    敷金が返ってきた際の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2022年4月11日 普通預金 40,000 敷金 100,000 敷金の返還
    修繕費 60,000 クリーニング費用

    上記のように、敷金のうちで物件の原状回復などに使われた分は「修繕費」という勘定科目で経費に計上できます。

    「地代家賃の内訳」の記入方法【収支内訳書・青色申告決算書】

    確定申告で提出する決算書には「地代家賃の内訳」という欄があります。白色申告の場合は「収支内訳書」の2ページ目、青色申告の場合は「青色申告決算書」の3ページ目にスペースが設けられています。

    収支内訳書(白色申告) 青色申告決算書(青色申告)
    令和元年分以降用 収支内訳書 地代家賃の内訳欄 令和元年分以降用 青色申告決算書 地代家賃の内訳欄
    令和元年分以降用 収支内訳書 地代家賃の内訳 記入欄 令和元年分以降用 青色申告決算書 地代家賃の内訳 記入欄

    この欄には、それぞれ以下のような内容を記入します。なお「収支内訳書」も「青色申告決算書」も、ここで記入する内容は同じです。

    記入欄 記入内容
    支払先の住所・氏名 大家さんや不動産会社の住所と名前
    賃貸物件 借りている物件の用途(事務所、店舗、駐車場など)
    本年中の貸借料・
    権利金等
    「権更」…本年中に支払った礼金や権利金、更新料の合計金額
    「賃」……本年中に支払った家賃などの合計金額
    必要経費算入額 本年中に支払った家賃、礼金などのうち経費にする金額
    (自宅兼事務所などの場合は、按分した後の金額)

    「必要経費算入額」に記入するのは、支払った賃料、礼金、更新料などの合計額です。敷金や保証金は、そもそも経費にならないので記入しません。また、仲介手数料についても、基本的に「支払手数料」の勘定科目で仕訳をするため記入は不要です。

    まとめ – 地代家賃の重要ポイントと具体例

    事務所・店舗・駐車場などを借りる際の費用は、「地代家賃」として経費に計上します。仕訳の際に気をつけるべきポイントは以下のとおりです。

    地代家賃の重要ポイント

    • 賃料だけでなく、管理費や礼金、更新料なども「地代家賃」に含めてOK
    • 自宅兼事務所などの家賃は、適切な割合であれば「家事按分」ができる
    • 敷金や保証金など、いずれ返ってくるお金はひとまず資産に計上する
    • 返ってきた敷金からクリーニング費用などが引かれていたら、その金額を経費にする
    • 翌年の賃料を前払いする場合は「前払費用」として資産に計上する
    • 年末以外で賃料を前払いする場合は、支払った日付で「地代家賃」に計上してOK

    なお「地代家賃」の消費税区分は基本的に「課税」。ただし、住宅用物件の家賃や、1ヶ月以上の契約で「整備されていない土地」を借りる際の費用については「非課税」です。

    地代家賃の具体例

    • 事務所や店舗の家賃、管理費
    • 自宅兼事務所の家賃の一部(家事按分)
    • 20万円未満の礼金、更新料、権利金
    • レンタルオフィス、シェアオフィスなどの料金
    • 倉庫、トランクルームなどの賃料
    • 月極駐車場などの賃料
    • 土地の賃料

    ちなみに、20万円以上の礼金や更新料の場合、支払ったタイミングでは経費に計上できません。賃貸契約の期間に応じて毎年少しずつ経費にしていく、というルールが決まっています。

    また、以下のような費用には「地代家賃」以外の勘定科目を用いるのが妥当です。

    地代家賃に当てはまらない費用 該当する勘定科目
    会議スペースなどの一時的な利用料 賃借料
    機械や器具のレンタル料
    不動産業者に支払う仲介手数料 支払手数料
    コインパーキングなどの一時的な利用料 旅費交通費

    確定申告で提出する決算書には「地代家賃の内訳」を記入し、税務署のチェックを受けます。会計内容を明瞭にするためにも、必要以上に「地代家賃」の勘定科目を使わないよう注意しましょう。

    監修

    田中税務会計事務所
    公認会計士・税理士・行政書士
    田中 雅明
    約30年の経験の中で、公認会計士、税理士はもちろん、弁護士、銀行系シンクタンク、保険会社、保険代理店、大手不動産会社等の強力なネットワークも持ち、皆様をトータル的にサポートする態勢が整った当事務所をご活用ください。